ライブ音源の可能性 〜間違いは音楽ではないのか?〜

先日もらったCDをずっと聞いています。
今年の4月からテレビの司会も始めたバイオリニストの作品です。

このCDは2005年から2014年の間の10年間に録り貯められた音源のオムニバスになっていますが、聞き応えのある素晴らしい内容になっています。
彼の音楽性が十二分に表現されていて、何度聞いても飽きません。

レコーディングの詳細なデータがないのではっきりとは言えませんが、ライブの音源も多く含まれています。
3日間くらいのじっくりと行うレコーディングも良いと思いますが、このくらいのスパンでじっくりと音楽を撮り貯めていくという手法も、制作手法としてはとても意義深い事だと改めて思いました。
ライブの音源では小さなミスも時々ある様ですが、音楽に集中しているとそんな事は全く気になりません。

何年か前、アメリカのプロデューサーGeroge Massenbergさんと話をした時に、
「今の録音の技術はメジャーのレコード会社がお客様から文句を言われないように、間違いも、バランスも、全て修正した作品を発表するために出来上がったものだけど、メジャー・レコード会社が相次いで姿を消している今、そんなことに意味はない。音楽は本来あるべき姿に戻るべきだ」
ということ言っていました。

若い音楽家たちと話をしても、
「今の自分たちはCDを作るには早すぎる」
という話をよく耳にします。

でも、そう言っている間に若い時期の瑞々しい音楽が空気の中に消えていってしまうのはもったいないことだと思います。
自分でそうは思っていなくても、若い音楽家の奏でる音楽が好きで応援して下さる方はたくさんいるのですから・・・
その人たちと音楽を共有するツールがあるとすれば、こんなに素敵なことはないのではないでしょうか?

録音の歴史、音楽教育の歴史の中で”間違い”がタブー視される文化が深く根付いてしまっているのかもしれません。
演奏における「キズ」もポジティブに受け入れられる土壌がもっと広がったら、日毎行われるライブの記録全てがアーティストにとって貴重な財産になると思います。

その辺りの話はまた改めて。

一生懸命やった結果は全てスバラシイ・・・

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