レコーディングエンジニアが抱えてるジレンマについて話そう。
”素晴らしい演奏にはかないません”
僕達の仕事については少し前に話したが、こんな事がたまにあった。
”今日の仕事は失敗が多かったなあ”と思って頭を抱えているのに周りからは
”今日の録音はいい音だね”と言われる。
実は録音がよいのではなく、演奏が素晴らしいのだ。
普段、良い音で録ります!!なんていているけど、内心は
”本当に演奏が素晴らしいのなら、ラジカセで録音しても良いのでは?”
などと自己矛盾した事を考えていたりする。
それが証拠に、エジソンが発明した蝋管の蓄音機に入っている音は本当に素晴らしいと思う。
心から音楽を楽しんでいる人の姿が目に浮かぶ様だ。
ブチブチというノイズのはるか向こうから音楽が聞こえてくるのだが、演奏が始まったとたんにノイズの事など頭からすっ飛んでしまう。
これが音楽のマジックだと思った。
そんな矛盾を抱えながら、それでも毎日”どうすればよい音が????”などと考えているからもう病気だ。
最近は素晴らしい演奏に出会った時は素直にこう考える事にしている。
”世界で最初にこの音楽を聴けたのは僕だ!! こんな楽しい仕事は外にはない”
出来ればスピーカー越しでなく、そのままの音を聞きたいが・・・
これは一生無理だろう。
PHOTO:JAZZの録音も承ります!!
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