オーディオ用の機材を選ぶのは、大変なことです。
何を基準に、どう選べば良いのか?
なかなか分かりにくい部分が多いと思います。
そこで、「何かのヒントになるかも?」と思い、僕たちレコーディングエンジニアが、音楽を作っている最中に考えていることをお伝えしてみます。
音楽を作る上で、レコーディング・エンジニアがコントロールする要素は、
大きく分けて三つあります。
- 右と左
- 前と後
- 楽器ごとの周波数の配分
この3つです。
左右のスピーカー、イヤホンの間に半球形の空間をイメージしてください。
そこに“いろいろな楽器をどの様に配置していくか”ということが、レコーディングエンジニアの大事な仕事です。
メディアに納められた音源を注意深く聞いてみると、
スネア・ドラムはボーカルの少し後ろにいたり、ギターが右のボーカルより少し後ろにいたり、
ストイングスは遠くに漂う様になっていたり・・・
“空間のいろいろな位置に楽器がちりばめられている”のがわかると思います。
この半球形の空間を「サウンドステージ」と呼びますが、
そのサウンドステージにおける楽器の配置を行いながら、
“それぞれの楽器の最も基本となる音域がぶつからない様”に、
“それぞれの楽器の周波数をコントロール”することで、
それぞれの楽器が自分の居場所をキープしながら、かつ、他の楽器を邪魔しない様にコントロールしています。
その様な観点からすると、上記の1番は少し置いておいて、
「楽器の前後関係と周波数の配分が、綺麗に聞き分けられるか?」
という点が、僕たちレコーディング・エンジニアの機材選びにおいても、大事なチェックポイントになってきます。
そのためには、前述の3要素が綺麗に整理された音源を使ってチェックする必要があります。
ちなみに、ご存知の方も多いと思いますが、エンジニアがその様に使用する音源を「リファレンス」と呼びます。
ちなみに僕が「リファレンス」と使用しているのは・・・、
GAUCHO / Steely DAN
Flowers in the dirt /Paul MacCartney
Greatest Hits /Madonna
などの音源です。
これらの音源を再生して、特定の音が聞きづらかったり、高い音や低い音が誇張されて聞こえたり、前と後ろの関係が解りにくかったりしたら、その再生装置は止めておいたほうが良いということになると思います。
今にして思えば20数年前、デジタルオーディオが登場した時に、メーカー側はその音質の限界に気がついていたのかもしれません。それが故に、低音を強調したりして再生機側で音を脚色する様なことを始めたのだとも思えます。
しかし、「ハイレゾ」というメディアでは、その様な再生機はメディアの魅力を壊してしまうものになってしまいかねません。
先ずは、ハイレゾ音源に詰め込まれた情報量を余すことなく再現する・・・
それが、これからのハイレゾ時代の再生機に求められる最低限の条件、だと思います。
そういう意味では僕たちエンジニアにも、“可能な限りの情報量を詰め込む技術”が求められているということだと思います。
機会を見て、弊社で使用しているスピーカーやマイクロホンなどについても、ご紹介できればと思います。
●はじめてのハイレゾ ~ ハイレゾ教室
●ハイレゾの楽しみ方#1 ~ ヘッドホン、イヤホンを選んでみる
●ハイレゾの楽しみ方#2 ~ ポータブル・HP・アンプ
●ハイレゾの楽しみ方#3 ~ ヘッドホンのケーブルを変えてみる
●ハイレゾの楽しみ方#4 ~ MQAフォーマット
●ハイレゾの楽しみ方#5 ~ 機材選びのヒント
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