オーディオに求められる特性の一つに「過渡応答特性」というものがあります。
「トランジェント」とという言葉でも表されますが、記録されるべき「音」を正確に伝送するにはとても大切な要素で、
一言で言えば瞬発力のある音に対する対応能力と言えると思います。
デジタルの領域では図を見て頂ければ解るようにハイレゾはAnalog、すなわち入力波形に対してかなり忠実にレスポンスしていることがわかります。
ただ、この図にも落とし穴があって、「音」がハイレゾのレコーダーに入るまでのアナログの領域でもこの様な瞬発的な信号を伝達することは至難の技なのです。
ハイレゾといえば、DSD 11.2Mz、384KHz,など規格が大きくなれば大きくなるほどソフトに納められている音が良い様な錯覚を受けがちですが、当たり前のことこと言えば当たり前の、「レコーダーに入るまでのアナログ系」も重要性も忘れてはいけません。
レコーディングという作業を料理に例えるのはあまり好きではないのですが、DSDなどの規格は料理を盛り付ける「器」に過ぎません。
録音の現場で使用されるマイクロホンやケーブル、プリアンプなどの機材はいわゆる「調理道具」に例えられると思います。
過渡特性の悪い機材を使うということは、なまった包丁で刺身を切っている様なもので、「素材」である音楽そのものや「器」である録音規格がいくら立派でも、貧弱な料理を盛り付ける結果になってしまいます。
これらのアナログ領域の機材達をいかに揃え、いかに扱うかがハイレゾを扱うレーベルの腕の見せ所の一つになると思います。
ハイレゾの規格で録音するからと言って安易にハイレゾを語るのはきつい言い方をすれば「猫が鍵盤の上を歩けばピアノは音を出す」のと同じレベルかもしれません。(CDの頃から同じ問題はありますが・・・)
大きな九谷焼のお皿にインスタントラーメンを盛り付ける様なことにならない様に気をつけたいと思います(笑)
図面参照元 http://merging.com/products/pyramix/dsd-dxd
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