最近、ネットや家電量販店の店頭で、『ハイレゾ』という言葉を目にすることが多くなりました。
ただ、この「ハイレゾ」という規格は一般の人には非常にわかりにくく、また、「これを楽しむには何が必要なの?」と悩んでいる人も多いと思います。
そこで、このページでは、誰にでもわかりやすく「ハイレゾ」を説明すると同時に、「手軽にハイレゾを楽しむ方法」を紹介していきます。
みなさんからの質問も受け付けておりますので、是非一度ご覧になって下さい。
◆ 一時限目(予備知識): 音の正体と音の3要素
〔音の正体〕
太鼓をたたいたあと、その皮に手をあててみると、皮がふるえています。また、皮がゆれないようにおさえて太鼓をたたくと、音は出なくなります。
つまり、音を出す物体は「ふるえること(振動)」によって音が出るのです。簡単にいうと、音が出ているものは、全てふるえているということなのです。
また、音が周囲に伝わるのは、音を出しているもののふるえが空気に伝わり、 空気のふるえとなってわたしたちの耳にとどくためです。 そのため、宇宙のように空気がない場所では、音は伝わらず、何も聞こえなくなってしまいます。
〔音の3つの要素〕
私たちが耳にしている「音」には、色々な「音」がありますね。 大きい音・小さな音、高い音・低い音、同じ大きさで同じ高さの音でも、柔らかい音・硬い音などなど。
この 「音の大きさ」、「音の高さ」、「音色」が3つの音の要素で、音の違いをつくっているのです。
【音の大きさ】
大音量スピーカーの前に立つと、大きな音が出るたびに服も体も震えます。また逆に、静かな田舎で聞こえる音は、すべてが止まっているように感じられます。その時は空気も同様に停滞しているように感じられます。
このように考えると、音の大きさは「空気の動く大きさ」に比例していると言えます。空気の動き(振動)が大きければ音も大きく、逆に空気の動き(振動)が小さければ音も小さいというわけです。
音波でいうと、振幅の大きさ(=波の高さ)によって決まります。下図(*出典:大阪教育大学HP)は音の大きさの違いによる波形の違いを簡略化したものです。
【音の高さ】
音は空気の振動ですから、その振動には繰り返しのパターンがあります。音の高低は、この振動のくり返しの回数によって決まります。つまり、単位時間内での振動回数が多い音が高い音、少ないのが低い音、なのです。この空気の振動が耳に届いたとき、音の高低が認識できるのです。
一般に音の高さは、1秒あたりのくり返し回数を示す「周波数」(=振動数)によってあらわされて、周波数をあらわす単位にはヘルツ(Hz)という単位が用いられます。低い音は周波数が低く(振動回数が少ない)、高い音は周波数が高く(振動回数が多い)なります。
ちなみに、人が耳で聞くことができる音の周波数は、一般的に20Hz~20000Hzと言われています。また、CDのサンプリング周波数(原音から切り取っている周波数)は、22.05kHz~20000Hzと人の可聴音に合わせています。
下図(*出典:大阪教育大学HP)は音波の波形の違いよる音の高低の波形で、高い音は細かく振動し、低い音はゆっくりと振動しているのがわかると思います。
【音色】
音の大きさや高さが同じであっても、ピアノとバイオリンではそれぞれ異なった音を出します。
それは、ピアノとバイオリンでは音の波の形が違うからなのです。
直感的には何となくわかるのですが、詳しくは・・・ちょっと難しいですね。
まあ、楽器によって波長や振幅のバランス、それに時間経過が複雑に絡み合って「音色」となり、その違いを私たちは感じ取っているようです。
※参考情報源:大阪教育大学HPほか
◆ 二時限目: 原音とハイレゾとCD
〔アナログ音源とデジタル音源〕
まず、「原音」の意味ですが、“原音とは、(再生音に対して)レコード・CD などへの録音の素材となった、もとの音”のことです。たとえば、あなたがあるミュージシャンのコンサート会場にいるとします。「原音」とは、まさにそこであなたが聞いている“生の音”なのです。当然のことながら、「原音」はアナログ(信号)で、連続した音です。
一方、デジタル音源では・・・、
このアナログである「原音」を、コンピュータが理解できるようにデジタル信号化してあります。このデジタル化の方法は、原音(アナログ音源)を一定時間ごとにサンプリング(=一定間隔で切り取る)のです。この原音を切り取る間隔が小さいほど、原音に近い音になります。
やや難しい話になりますが、一般的にデジタル音源の“質”を表す尺度として、「1秒間ごとに切り取る回数=サンプリング周波数」(単位は「Hz」)と、「音の強弱(ダイナミックレンジ)=量子化ビット数」(単位は「bit」)を使います。それぞれ、その数値が大きいほど、原音(アナログ音源)に近いデジタル音源と言えます。ちなみにCDの場合は、サンプリングした音の大きさを「16bit=65,536段階」で記録しています。
※右の図は、赤い線が原音の波形で、青い点がサンプリンした音です。横軸が時間の流れなので、当然青い点は等間隔となっています。一方、縦軸は振幅(=音の大きさ)ですが、量子化ビット数が小さいと図のように赤線の原音波形から微妙にずれてしまいます。
実は、私たちが普段聴いている音楽CDは、原音の一部分のみを記録したもので、原音の多くの部分が切り捨てられている音楽なのです。
〔CD音源とハイレゾ音源〕
CD音源も、その規格により様々ですが、一般的な音楽CDで使用されているCD-DAの場合は・・・、
サンプリング周波数 44.1kHz 量子化ビット数 16bit です。
一方、ハイレゾ音源(2つ代表的な規格)の場合は・・・、
サンプリング周波数 96kHz or 192Hz 量子化ビット数 24bit です。
つまり、ハイレゾ音源(192kHz/24bitの場合)はCD音源に比べ、4倍以上も細かく原音を切り取っているのです。そのため、CDでは切り捨てられていた高周波数の音も残されているのです。また、音の強弱情報の切り取り尺度の方も五割アップ(細かく)しています。
結果的に、同じ曲でもハイレゾ音源の“音の情報量”はCDの約6.5倍あり、その音の波形は原音に近い形(=原音に近い音)を描きます。
つまり、「音の繊細さ・奥行き・表現力」が優れているハイレゾ音源では、CDでは伝わってこなかったライブの空気感やリアルな臨場感・立体感を感じることができるのです。
〔ハイレゾ音源の隠れた魅力〕
人の聴き取れる音の周波数帯域(可聴帯域)は、一般的に20kHzが上限と言われています。当然、個人差や年齢差はありますが。しかし、現在では「人間は耳で聴き取れない高帯域の音についても、何らかの方法で感じ取っていて、聴覚に影響を与える」という考え方が主流で、この可聴帯域外の周波数の音の効果について、様々な研究が行われています。
以下は、CDよりはるかに高帯域の音を含んでいる「ハイレゾ音源の効果」についての記事やコラムです。
→ 脳科学者・茂木健一郎が語る 「脳をリラックスさせるハイレゾという“音”泉」
→ ハイレゾは健康にいい!? ハイパーソニック・エフェクト成果報告会
→ ハイレゾ音源を聴くと、脳は“快感”に包まれる? @DIME
→ ハイレゾが音楽を変える NHKおはようニッポン
→ ハイレゾ音源のBGM アルテミスウィメンズホスピタル
→ ぐっすり眠れるα波 ~ ジブリ ピアノ・ベスト e-onkyo
これらの記事を読んでみると、「ハイレゾ音源」の可能性には無限の広がりがあるように感じます。いち早い、ソフト面での充実、ハード面での低価格化が、待ちどうしい限りです。
引き続き、「ハイレゾ音源を手軽に楽しむ方法」を制作中です。
オープンまでもうしばらくお待ちください。
●ハイレゾの楽しみ方#1 ~ ヘッドホン、イヤホンを選んでみる
●ハイレゾの楽しみ方#2 ~ ポータブル・HP・アンプ
●ハイレゾの楽しみ方#3 ~ ヘッドホンのケーブルを変えてみる
●ハイレゾの楽しみ方#4 ~ MQAフォーマット
●ハイレゾの楽しみ方#5 ~ 機材選びのヒント