ここの所、初めてCDを制作されるという方とのお付き合いが増えてきたのでマニュアルらしき物を作ってみようと思った。
ちょっと長いけれどこんな感じ・・・・
あと、写真などを加えてみようと思います。
CD制作マニュアル(クラシック編)
はじめに
CDの制作は大変な仕事です。
録音という非日常的な場所での演奏を強いられ、収録後の編集の段階では自分の演奏と真正面から向き合わなければなりません。
そうした一連の作業の中で最も大切なのは“常に平静な状態で音楽を楽しめる“状態にご自分自身をコントロールする事です。
また、CDを購入する人は演奏者のあら探しをするために購入する訳ではありません。
演奏者の持つ“音楽”を聞くためにCDを購入します。
だとすれば、一連の作業の中で演奏者としてどんなときにも音楽を楽しめる精神状態を作っていただくことが最も重要な作業となります。
このマニュアルは、あらかじめお読みいただくことによって作業全体の流れを把握して頂き、初めての体験でも戸惑い無く音楽に集中して頂くために制作しました。
皆様の音楽制作に少しでもお役に立てれば幸いです。
打合せ
お客様が制作されたいCDのイメージを元に、録音場所、録音方式、録音のスケジュール、ジャケットのデザイン、制作日程などについて打合せをします。
ホールの選定と下見
演奏される楽器、音楽に応じて適した響きがあります。
特にクラシック音楽の場合、楽器の音そのものと同様録音する場所の響きも演奏、サウンド、録音の全てに大きな影響を及ぼします。
従ってホールの選定は注意深く行うべきです。
ホールの響き、設置してあるピアノ、アクセス、料金、空き日程などを調べてホールを選定します。
ホールを予約する前には実際にホールに楽器を持参して演奏される事をお勧めします。実際の響きを確認する事は勿論、録音当日不要な緊張やとまどいをなくすためにも楽器を持参しての下見は大切です。
ホールの予約
条件的に満足のいくホールが決まったら予約をします。
ホールごとに細かい決まりがありますので漏れの内容に注意しましょう。
ホール打合せと技術下見
ホールと録音当日の使用について具体的な打合せを行います。
使用時間、ピアノや楽屋の使用、その他付帯設備の使用について打合せをして頂きます。借り主は基本的にお客様ご自身となりますので、打合せにはご出席をお願いします。
このとき、技術スタッフも同行して録音機材の設置場所や搬入経路の確認、電源の使用、などについてホールと打ち合わせを行います。
調律師の予約
ピアノを使用する場合、ホールの予約と同時に調律さんを予約される事をお勧めします。
ホールによっては指定の業者さんがある場合があります。
ディレクターの確保
本番の録音で演奏だけに集中して頂くために、ディレクターを建てる事をお勧めします。
ディレクター不在の場合、ご自分の演奏をご自分で聴いてOK,NGの判断を下さなければなりません。
ご自分の演奏を理解されている方に演奏をチェックしていただくことによって、無駄なプレイバック(録音した物を再生してチェックする事)や精神的な負担を減らす事が出来、より音楽に集中する事が可能になります。
エンジニアによるリハーサルの下見
レコーディングに向けてのリハーサルが固まってきた頃、エンジニアがリハーサルにお邪魔します。
エンジニアが生の音を聞く事によって録音の方法やイメージを固めるためと、顔を合わせ、会話をする事によって人間関係を円滑にし録音の現場には少しでも“気心が知れたスタッフ“として参加するためです。
これによって録音現場での緊張を呼び起こす要素を少しでも軽減させるのも狙いの一つです。
録音当日
準備
技術チーム、調律はホール会館と同時に準備を開始します。
用意する機材の内容にもよりますが、最低2時間、場合によっては3時間が機材セッティングの時間のために必要になります。
調律の仕上がり具合などにもよりますが、準備の間練習をしていただくことは問題ありません。但し、機材が行き交いますので楽器の扱いにはご注意下さい。
テスト録音
準備が終わっても直ぐに本番の録音に入れる訳ではありません。
録音しようとしている音が、意図した音になっているかどうかをチェックする必要があります。
マイクを通して聞く音は必ずしも生で聞く音と同じではありません。
その“差”を修正するための作業が必要です。
演奏を録音する、再生して聞いて議論する、機材のセッティングを修正する・・・
この繰り返しを何度か行います。
全員がOKと思える音になったところでいよいよ本番の録音となります。
録音内容にもよりますが、この作業には1~2時間かかります。
ですから、1日目の録音開始時間は12時から3時の間となる事が多い様です。
本番録音
リラックスして本番に臨みましょう!!
録音には気分の落ち着く物などを持ってこられる事をお勧めします。
編集を前提とした録音に置いても、通しで演奏するテイクを確保する事が必要です。
部分ばかりで進行してしまうと全体の仕上がりが見えないままに録音を終えてしまう事になります。
個人差はありますが、なるべく少ない回数、集中して演奏に臨む方が良い結果を得られる事が多いようです。
撤収
撤収には1時間から1時間半を必要とします。
ホールの退出時間からその時間を引いた時間には録音を終了して下さい。
録音終了後、全ての演奏を収録したCD-Rをお渡しします。
これをお持ち帰り頂いて、演奏、録音のチェックと後日の編集箇所の指定に使用して頂きます。
編集
録音当日お持ち帰り頂いたCDの演奏の冒頭にはテイクナンバーと呼ばれるコールが入っています。
編集に使用する譜面上に、編集箇所とテイクナンバーを書き込んで頂く事によって編集箇所を指定して頂きます。
その指示に従って編集を進めていきますが、必ずしもご指定の場所で編集が出来ない場合もあります。その場合、音楽的にダメージのない範囲で伝習箇所を前後させる事があります。
編集が終わった素材は立ち会いの元でご確認頂くか、CDを郵送してチェックして頂きます。
立会編集は短時間で編集を完成させる事が出来ますが、別途スタジオ使用料が必要です。
マスタリング
編集の終わった各曲を指定の順番に並べ、曲ごとの音量、音質、曲同士の間の時間を調整します。曲間の時間、音量差などは曲ごとのイメージを大きく左右します。
並べた物を通して聞く、修正を加える、また通して聞くと言う作業の繰り返しです。忍耐力を必要としますが、頑張りましょう。
CDに書き込まれる曲名、CDのタイトルやCD番号などの情報もこの作業で原盤に記録します。
マスタリングも編集同様CDのやりとりで行う事が可能です。
立会の場合、別途スタジオ使用料が必要です。
JASRAC
著作権の申請、使用の許諾が必要な楽曲が含まれている場合にはJASRACへの申請をお願いします。
使用の許諾につきましては、弊社で代行する事も可能です。
JASRACに著作権の管理を申請したり、許諾を得た場合、バックインレイに指定のシールを貼る事が義務づけられます。(このシールは申請と同時にJASRACから配給されます)
海外でプレスを行う場合はこのシールを貼る事が必須となりますが、国内でプレスを行う場合、工場によってはシールの貼り付けが免除されている工場がありますので、印刷での表示が可能となります。
ジャケットデザイン
ジャケットデザインをご自分で行われる場合、弊社からテンプレートのデータをお渡ししますので、それを使用して作業を行ってください。
制作する物はジャケット、盤面、帯、バックインレイ
の4点です。
また、実際の印刷される物は、コンピューター上で見ている物、またはコンピューターからプリントアウトされた物と色合いが異なってしまいます。
これはコンピューターと印刷の色の出し方の違いに起因する物です。
厳密に色を再現されたい方には色校正をお勧めしますが、別途時間と費用がかかります。盤面についても同様です。
JASRACのマーク、許諾番号の表示を所定の位置にお願いします。
EVER GREEN PUBLISHINGSの通信販売をご希望の方は
ジャケットの最終ページ
盤面、
帯、
バックインレイ
に幅8~10mmでレーベルロゴの表示をお願いします。
MADE IN JAPANの表記に着きましては国内プレスを行うディスクについてのみ可能ですのでご注意下さい。
プレス
マスタリングを終えた音声データとジャケットのデータが揃ったところでプレス工場への入稿となります。
納期は通常20日です。
プレスの上がったディスクは工場から直接ご指定の場所へお届けします。
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