弊社ではクラシックのレコーディングでピアノが絡む録音の場合、ミュージシャンの次にピアノ技術者のスケジュールを押さえて、それに合うようにホールを探します。
ピアノ技術者、つまり調律さんはレコーディングにおいて最も重要なスタッフなのです。
録音サイドがどんなに手を尽くしてもピアノに起因する問題はごまかす事はできても解決には至りません。
それはピアニストにとっても同様で、弾きづらいピアノでのレコーディングはそちらの問題に気を取られがちでなかなか音楽に集中できなくなってしまいます。
先ずはピアノを最良のコンディションに整えてくれる技術者を確保する。これはレコーディングの成功をの是非を左右するとても大切な作業です。
さらにピアノ技術者の中でもレコーディングに慣れた人、そうでない人、様々な方がいらっしゃいます。
レコーディングの最中でも録音された音は全く聞かないで、ホールの中でピアノの音を聞いて終わってしまう方、
ホールの中のピアノの音と録音された音に違いがあっても、「いや、ホールの中ではちゃんと鳴っているから」と言って終わってしまう方・・・
レコーディングの現場におけるピアノ技術者の方の対応も様々です。
コンサートの場合はピアノの音を届ける先は客席のお客様なので、客席での聞こえ方をチェックされる事には問題ないのですが、レコーディングの場合の最終のターゲットは現場の客席ではなくスピーカーから出てくる音です。
ということは、スピーカーから聞こえてくる音に対してピアノのコンディション、演奏者の状態、さらにはマイクの位置などの技術的要件を考慮して諸々も条件を調整する力を持ったピアノ技術者が必要です。
その様な方は日本に何人もいらっしゃらないのですが、そういう方とのセッションでは
「ここが気になるのだけれど、それてピアノの問題?技術サイド?それともピアニスト?・・・」
みたいな会話がよくあります。
そのような状態の中では問題の解決も迅速で、レコーディングも非常に充実したものになります。
熟練したピアノ技術者はピアニストがどこに行きたいのか?何を表現したいのか?それにおいて何が問題なのか?
を少し演奏を聴いただけで把握し、解決のために諸々の条件を整えてくれます。そして、豊富なレコーディングの経験の中でピアノの位置やピアノとマイクの関係など、エンジニアサイドにも的確なアドバイスをしてくれることもしばしばです。
ピアノは湿度、温度はもちろん、誰が弾いたか、どのくらい弾かれていないか・・・・
など、様々な条件で状態が目まぐるしく変わる楽器です。
その様な楽器をピアニストの手足の、意識の延長にあるものにしてレコーディングを実りあるものにするためにも、優れたピアノ技術者の確保は重要です。