アメリカの偉大なエンジニア・プロデューサーのGeorge Massenburgが言った一言
「レコーディングにおいて唯一ルールがあるとすれば、そこにはルールは無い。ということがルールだ」
禅問答のようだが本質をついている言葉だと思う。
なぜこんなことを書いたかというと、
僕は同じショパンを録音しても古楽器のピアノで録る時とモダンのピアノで録る時は基本的にアプローチが違うということを思い出したから。
古楽器は比較的小さな部屋で、聴く人たちの耳は楽器と同じ高さにあったことが多い。
だから大音量も出ないし、反響板も申し訳程度。
マイクをなるべく鍵盤の高さと同じにして楽器のボディの鳴りというか、弦の音を直接拾わないようにした方がその時代の音楽らしく聞こえる様な気がしている。
実際に古楽器で聴くショパンやベートーベン、ドビュッシーは実は大好きだったりする。
モダンのピアノは楽器がアプローチする聴衆の人数が大幅に増えているため、端的に言えば大音量化している。
だからピアニストがホールに飛ばそうとしている音を迎えに行く感じで録音することが多い。
でも、モダンのピアノも古楽器と同じアプローチで結構いい音が録れたりする。
楽器はいたるところから音が出ているし、その一つ一つが大事な要素。
マイクを立てるということはその無限の要素から何を選ぶかという選択の作業かもしれない。
だから、「そこにはルールは無い」
というのは究極の真実に思えるのだろう・・・・