業界の勇み足? 〜活性化しないハイレゾ・シーン〜

ハイレゾは「盛り上がる盛り上がる・・・」と言われながら、かなりの時間が経っています。
弊社も本格的にハイレゾに取り組み始めてから半年近くが経とうとしています。

なぜハイレゾは盛り上がらなのか?

僕自身は
ハイレゾの規格を安易に決めてしまった業界の勇み足
が原因かも知れません。

JEITAによる定義は、リニアPCM換算で、「サンプリング周波数と量子化bit数のいずれかがCDスペックを超えていればハイレゾオーディオ」という ことになっています。

しかしながら、CDの規格である44.1KHz 16bitと44.1KHz 24bitの違いがわかる人がどれだけいるか?
違いがわかった所でその違いはユーザーの購買意欲を刺激するほどの刺激的なものなのか?
と考えた場合、44.1KHz 16bitと44.1KHz 24bitの違いは本当に微妙なもので、プロである僕たちですら解らないかも知れないレベルのものだし、それによって音質が劇的に変化するかと言われれば、それはほとんど解らないというのが正直な所だと思います。

自分の経験上、ハイレゾの恩恵を受けるのはPCMで言えば192KHz 24bit以上、DSDで5.6MHz以上で、
おそらく、この辺りからは一般のユーザーの方でも違いを認識できると思います。
384KHz 32bit、DSDで11.2MHzになると、本当にこれまで聞いたことがない世界が目の前に開けてきます。
(いつも言っている様にそこに入れる音をきちんと録れる感性、技術、機材があっての話ですが・・・)

何故こんなに違いの見えにくい低いスペックの規格をハイレゾと呼び始めたのか?

数字の比較だけできたのか?
家電の売り上げを伸ばしたい業界の意向が働いたのか?
制作環境の整わない制作現場の思惑と一致したのか・・・?

本当の理由はわかりませんが、今の状況は一般のユーザーを混乱に陥れていることは間違いない様です。

 

そして、データ容量の問題。

ハイレゾを聞こうとするとデータ容量が大きくなってダウンドードが難しい当話をよく耳にします。
(弊社のプランナーK氏もよく言います)
でもそれは、手軽に音楽を聴けたMP3の流通をベースに考えるからそうなるだけで、
CDや本を買うのと同じ様にハイレゾデータの入った媒体を流通に乗せることで、かなりの部分が解決するのではないでしょうか?
良いものを手に入れるにはそれ相応の対価を手間がかかることを、みんな忘れ始めているのかも知れません。

ハイレゾの普及には数字や過去の慣例に囚われない自由な発想と、大胆な発想の転換と差別化が必要な様です。
そこを克服できれば芳醇な音楽文化を分かち合うことができるのに、本当にもったいない状態が続いていると思うこの頃です。

 

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップブログ記事

  1. (有)VIVID productionsではハイレゾの高音質を生かした音源制作を体験していた...
  2. [caption id="attachment_3074" align="alignnone" wi...
  3. クラシックのCD制作のための録音において、ホール選びは重要な要素です。

過去の記事