響きのこと

弊社ではアコースティックな楽器のレコーディングの場合、出来るだけ響きの良い場所での録音をお勧めしています。
それには理由がありまして、

1.ミュージシャンは響きに呼応(ホールからの返りの音を聞いて)して演奏をするので、音楽性を高めてくれる響きを持ったホールで録音する方が演奏面において良い結果が得られる。

2.レコーディングの時にマイクロホンに入る音は楽器に向いているからといって楽器だけの音が入るわけではなく、周囲の響きも収録されてしまう。そのため、小さな空間で演奏された音は小さな空間を感じさせる音になってしまって、録音された音自体をチープなものに感じさせてしまう。

最近は録音された音から響きを消してしまうソフトウエアも出始めていますが、音楽の制作においての仕様についてはまだまだ検証が必要です。

そして、後から響きをつける方法もあることをご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、音楽家は自然の現場の響きと呼応しながら演奏しています。つまり、響きも演奏の一部になってしまっていて、それを音楽家と呼応していないものに置き換えたところで結果は白々しいものにしかならないことが多いです。

そこを考えるには、録音を行うエンジニアにも音楽的な素養が厳しく求められるということだと思います。

目次