お世話になっている指揮者の先生が一枚のレコードを持ってこられた。
震災の時の津波で潮をかぶってしまったレコード。
しばらく潮水に浸かっていたのか、盤面が膨張して亀裂が入っている。
ご親族の歌声が入っているということで、なんとか復元できないだろうかというご依頼だった。
友人の事務所に持ち込んで恐る恐る再生してみると片面はなんとか救えるかも?
という状態だった。
再生の状態は悲惨でバチバチ・ザーザーというノイズの向こうに「田代島大漁唄い込み」が聞こえる。
まずはPCで処理できる様にWAVというファイルに起こし、
バチバチというスクラッチノイズを取り除く。
スクラッチノイズにも色々な種類があるのでそれを一つづつ丁寧に。
そのあと、潮がこびりついたのか、ザーザーという音を取り除く。
取り過ぎてしまうと元の歌にダメージを与えてしまうので慎重に。
それでも取りきれないボコッとか、ザワーとか、様々ノイズはペンツールを使って一つづつ丁寧に取り除く。
なんだかんだで2日かかってしまったけれど、歌っている人たちの姿が見えるところまでは漕ぎ着けたかな?(笑)
その後は通常のCDと同じマスタリング。
何とかご期待に添える仕上がりになったともう。
それにしても、民謡というか人々の生活に根ざした歌の持つエネルギーというか、グルーヴって凄いなと、改めて感動した。
震災のことは今も忘れてはならないし、何も手伝えず風化していく自分の記憶がもどかしいと思うことも多いけれど、たまにでもこういったお手伝いができることはこころから嬉しい。