弊社のマイクの話を。
会社を立ち上げる前の数年間は必死にマイクを集めていた。
僕は師匠からの影響だと思うのだが、ドイツのNEUMANNと言う会社のマイクが大好きだ。それも、今は製造中止になっている真空管内蔵の物。
トランジスタの発明と共に姿を消したマイク達だが、ヨーロッパ、アメリカのスタジオではいまだに現役で稼働している。
その最大の魅力は”音楽的なサウンド”にある。
最近はDPAなどの特性がフラットなマイクが好まれて使用されているが、これらのマイクで収録された音は音楽の本質まで手が届いていない様な気がしてならない。
NEUMANNの真空管のマイクは演奏者の息づかいまで捉える様なところがある。
これを”癖”と呼ぶ方々もいらっしゃるが、僕は自分の仕事を”音ではなく音楽を録る”事だと思っているのでこの”癖”は大歓迎だ。
どんな音楽でも記録物として残す場合、鳴っているままに聞こえる事に拘って収録するよりも、寄り音楽的に聞こえる事に拘って収録する方が前向きなのではないだろうか?
そう考えるとNEUMANNと言う選択は頻度が増えてくる。
僕が本当に捉えたいのは音楽家の心の中で鳴っている音楽。機材はそのためにセレクトされるべきだと思っている。
残念ながら、ケーブルの規格の違いのためにこれらの真空管マイクはコンサートではほとんど使用出来ない。是非、セッションレコーディングでその真価を確認して頂きたい物です。
PHOTO:弊社所有のマイク。レンタルはしていません。